理事長所信

山口青年会議所 第69代理事長野上宙樹

躍動 〜共感伴う心躍る未来へ~

はじめに

「人生は選択の連続である。」

私を含め、山口青年会議所の会員がこれまでの人生で行ってきた膨大な選択のなかで、唯一共通しているのは、他でもない「山口青年会議所」という組織での活動を選択したことである。しかし、この共通の選択により、山口青年会議所という同じ学舎にただ足を踏み入れただけでは、その選択が正しかったかどうかをジャッジすることなんてできない。

その自らの選択の正しさを肯定する1つのものさしとなるのは、いかに今現在進行形でJCに対して「躍動」しているか、に尽きると考える。躍動とは、いきいきと活動すること。傍観者としてやらされるのではなく、当事者として主体的に考え動く。また、共に活動する仲間の大切さを理解し、相手の価値観や心に寄り添う。喜怒哀楽のある躍動感溢れるJC活動や運動であれば、仮にその結果が失敗に終わったとしても、その過程に価値を見出すことができるはず。

この意識と覚悟をもち、2024年のこの時代と地域に点在する課題に真正面から向き合い、仲間と共に課題解決に向けた大きな波を巻き起こし、まずは何より自分たち自身に、そして、我々が住み暮らすこのまちやひとに、より良い変化をもたらすことで、自己の選択を肯定し、会員には山口青年会議所という組織に誇りや愛着心を得てもらいたい。

リーダーシップの開発と成長の機会の提供への「躍動」

2022年にJCIMISSIONが改定され、青年会議所は「リーダーシップ」の開発と成長の機会を提供する組織であると明記された。全世界を震撼させた新型コロナウイルス感染症や今もなお世界各地で起こる紛争は、物価高という形で私たちの日常生活に影響を及ぼし、ChatGPTの登場は、AIが人間の知能を超えるシンギュラリティのそう遠くない到来を予感させた。この激動する社会に適応できなければ、時代の流れから取り残されることになる。私たちはリーダーとして、変化を恐れずに受け入れ、逃走せずに闘争し、青年らしい柔軟な発想で新たな社会のニーズに対応していかなければならない。

まずは、私自身が理事長として、誰よりも情熱をもってリーダーシップを発揮することにより、このJCIMISSIONを嘘がなく実体が伴うよう体現し、リーダーシップの要素である行動力と影響力を兼ね備えた人間力を向上させる場を、すべての事業で提供していく。

青年会議所らしさの志共有への「躍動」

伝統と革新、変えてはならないものと変わらなければならないものといった議論をすることがJCでもある。「青年会議所らしさ」の場合は前者であり、いつの時代でも決して揺るがない、JC運動の根幹となるものだ。それぞれの時代の青年たちが運動を展開し、その時代の物語を紡ぎ続けた結果、山口青年会議所は69年もの長きにわたり存続してきた。私たちが今JC活動を行うことができるのは、OBの先輩諸兄姉から脈々と受け継がれてきた青年会議所らしさという普遍の志があったからである。

変化する時代だからこそ、この志を失ってはならない。同じ方向を向き運動を展開していくために必要な青年会議所らしさを追求するとともに、山口青年会議所としてのアイデンティティを会員間で共有し、組織の力を最大限に発揮していく。

会員のモチベーション向上への「躍動」

家庭、仕事、JC。それぞれの環境や立場によってその優先順位やバランスは当然異なるため、JAYCEEとしてこれがあるべき姿と頭ごなしに語ることはできない。ただ言えるのは、一日に与えられた時間は全員同じ、24時間であるということ。その限られた時間の中でいかに効率的に躍動し、JCのために使える時間を捻出できるかは、その人次第であるし、自分の時間を仲間に貸し、逆に仲間の時間を借りることだってできる。

JCに対して充実感や満足感を得られているかどうかは、JC活動を続けるうえでの重要な要素となる。JCという組織の上下関係という枠からは一旦外れ、役職等関わらず、全会員と個別で対話する機会を設ける。1on1でのコミュニケーションでその率直な声を傾聴し、全会員が主役となるような組織運営にフィードバックする。

会員拡大につながる出会いと認知度向上への「躍動」

「数は力なり。」会員拡大においては、2つの意味で捉えることができる。まずは、出会いの数の力。バッターボックスに立つ回数を増やさなければ、その成功数が増えることは決してない。次に、事業規模の数の力。多くの会員がいれば、運営面や予算面の点からも、より規模の大きい事業の実施が可能となる。逆に、会員が入会しなければ、卒会という制度のある青年会議所では、徐々に組織が弱体化し縮小していく未来しかない。会員拡大を通して、多くの同年代の青年経済人と出会うこと。これが会員拡大の核心部分となる。

また、単に発信するだけではない、相手にきちんと受信される魅力的な広報活動によって、山口青年会議所の認知度を向上させることは、人々の興味関心を集め、新しい仲間との出会いの機会を創出し、結果、会員拡大へとループする。

公州青年会議所との交流と青少年の未来創造への「躍動」

山口青年会議所の姉妹JCである公州青年会議所との国際交流事業は、日韓情勢や新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、約5年間開催されていない。昨年の1月と3月には、数年ぶりに各国を相互訪問し、両国JC間の協定や今後の交流に関する意見交換を行った。公州青年会議所との交流を再び活発化させ、LOM同士そして会員同士が友好的な関係を築き、青少年事業の実施も見据えた日韓交流の懸け橋になる。

青少年期の原体験は、その後の人間形成に大きな影響を与える。彼らの不安を期待に転換させる手助けをし、これからの時代に求められる人物像への道標となる多くのヒントを提供していく。

持続可能な社会開発への「躍動」

近年の山口青年会議所は、継続事業を他団体に移行するなど、新たな社会課題の解決に取り組みやすい環境にある。社会課題には、世間一般に誰もが既に認識し得る状態にあるものと、まだ顕在化する前の小さな芽の状態にあるものとがある。今この時代、この瞬間だからこそターゲットにすべき社会課題を的確に捉え、より多くの人を巻き込みながら、効果的でインパクトを与える運動を起こす必要がある。

運動とは、単独の花火一発のようなものではなく、ひとやまちにとって自走可能な仕組みを伴うものであるべきだ。昨年度開催された湯田温泉ぶっかけまつりや山口レインボープライド2023のように運動を通じて、ひとやまちに当事者意識や関心を芽生えさせることが、問題解決の糸口へとつながる。

過去を振り返り未来にバトンを渡す70周年への「躍動」

2025年に山口青年会議所は創立70周年を迎える。未来は過去の発見から始まる。過去の運動を振り返ることで、はじめて未だ見ぬ未来を創造することができる。OBの先輩諸兄姉へのヒアリングを含め、まずは60年代運動指針の検証を行い、その結果を70年代運動指針の調査と研究へとつなげていく。

65周年記念式典事業が中止となったこともあり、周年事業の経験を有する者がほとんどいないのも現実。このような現状においても、開催の前年度から、用意周到な準備を行うことによって、OBの先輩諸兄姉から脈々と受け継がれてきた歴史と伝統をこれからも引き継いでいけるように、キャピタルLOMとしての誇りをもち、70周年の節目となる2025年にバトンを渡す。

おもてなしの徹底への「躍動」

組織の運営においては、多様性を尊重し、異なる価値観をもつ人々がいきいきと活動できるような環境を常に意識し、整備していかなければならない。定款や諸規程に関しても、今の現状やニーズと齟齬がないか調査し、必要に応じてこれらを変更することも検討していく。

加えて、組織運営で重要なことは、おもてなし(目配り、気配り、心配り)の精神と行動である。自身が組織の一員であるという責任と自覚をもって取り組むこと。限られた時間のなかで、どれだけ相手のために時間を使えるか、相手の気持ちになって考えること。「親しき中にも礼儀あり」という言葉の通り、おもてなしの精神と行動を忘れずに活動していこう。

中国地区コンファレンス開催への「躍動」

2020年度、1986年以来の中国地区コンファレンス開催主管LOMとして準備を進めるなか、現地開催中止というやむを得ない判断をするに至った。今回、2023年7月の中国地区会員会議所会議において、2024年度の中国地区コンファレンス開催主管LOMとして再び立候補し承認された。

当時のやり切れない複雑な想いや得た教訓を生かし、中国地区コンファレンスのもつ意義と役割のもと、固定概念を打破した自由な発想により、山口青年会議所らしい大会を用意する。さらに、開催地LOMだからこそ得られるメリットである「組織の強化につながる機会」とするため、LOM全体の士気を高め、全員でやり遂げる意欲をもつ。最大限の親切心溢れるおもてなしで、中国地区から集う各地青年会議所の会員を迎えよう。

躍動〜共感伴う心躍る未来へ〜

2024年度は、躍動の言葉から紐解かれる「心が躍る」をキーワードとして参照しながら、山口青年会議所のアイデンティティを色濃く反映した運動を展開していきたい。当事者自身が期待感の無いものには、第三者の目から見ても魅力的に映ることはないだろうし、そこには消化試合のムードしか漂わない。ワクワク感こそが、ひとやまちにとっても魅力的な事業を推し進める原動力となる。同時に、決して内輪だけの自己満足にならぬよう、関係するパートナーやステークホルダーの「共感」が伴うかどうかもポイントとなる。共感は、運動がひとやまちに与えるインパクトを拡張させ、賛同者を巻き込む好循環の渦の役割を果たすのだ。

最後に、私には、私のJC活動を応援してくれる家族や職場の方がいる。

私には、山口青年会議所の仲間がいる。その仲間にも同じように応援してくれる家族や職場の方がいる。

私たちには、私たちを応援してくれる尊敬してやまない経験豊富な頼もしいOBの先輩諸兄姉をはじめ、運動を共創していただける地域住民や関係諸団体の皆さんがいる。

すべての方々の応援を第69代理事長としての覚悟に変え、山口青年会議所が地域のオピニオンリーダーとなるべく、命の灯を燃やし尽くして走る。

昨日より今日がそして明日以降の未来を、より素晴らしく心躍る世界にするために!

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